旅・小値賀島へ
久々に遠くへ。
長崎県、五島列島の北端にある小値賀島(おぢかじま)。
佐世保から船で西に60キロ。
決してアクセスが良い所ではない。
「なにもない」
といわれるが、そうではない。
そこに「あり続ける」ものを見に行ってきた。
五島列島の中でも、小値賀島周辺の島々は古代の火山の噴火により形成されていて、比較的なだらかな地形は暮らしやすく、2万5000年前の旧石器時代から人の営みが続いているそうだ。
豊富な海の幸、農業のしやすい地形により、半漁半農、自給自足、物々交換が今も当たり前に続いている。
魚は朝、漁港で直接買う。
10時前、ギリギリ間に合った。
上がったばかりのイサキを買ってその場で下処理、宿に持って帰って持参したオリーブオイルとお塩でカルパッチョにした。
この島に残る古民家が、アレックス・カーによって素晴らしい宿になっている
散歩がてら海へ。
牛たちも気持ちよさそう。
太古の時代からこの島は、自然も人も、バランスよく成り立ち、生きてきたのではないかと思う。
この島では会う人、会う人、皆顔を合わせ、気持ちの良いあいさつをしてくれる。
都会に住んでると、こんなにピュアな「こんにちは。」を全ての人とすることはなかなかない。
コンビニもなく、スーパーは17時に閉まる。
翌日の朝ご飯を用意してなかったので、家の近くに唯一あった小さな酒屋さんに入って、
「すみません、お米は売ってないですか?」
と、店の主人に聞いてみたら、
「ごめんなさい、お米はないんです、、」と。
残念だけどしょうがない。そこにある野菜、ツナ缶を買っていこうとしたら、
「せっかく来てくれたのに、、よかったら。」
と言って、ご自身の家のお米を1合、分けてビニール袋に持ってきてくれた。
お代を払わせてくださいと言うと、いやいや、要らないと当たり前のように分けてくれた。
翌朝、温かい気持ちでホカホカの白米を食べた。
島の人たちと話していると、
「この何もないところへ東京からよく来たね〜」
と、言われるが、そんなことないです。
すごく大切なことがたくさん在り続けている。
今度行く時はお米のお礼を持っていこう。
2022.11月