美容室がウエダ家の乳酸菌と出逢った日-2

ワークショップが始まり、ウエダ家の歴史、乳酸菌の話などを聞きながら、彼らの自然発酵乳酸菌から作り出されるドリンクや料理を口にする度に、今まで感じたことのない驚きと感動で心が満たされていった。
ワークショップ開始とともに出されるウエダ家の自然発酵乳酸菌を使った料理の数々。

まず最初に驚いたのは

ブドウの発酵ジュース

このウェルカムドリンクで一瞬にして菌の世界へ誘われ、心を掴まれた。発酵によるシュワシュワが、口に入れた瞬間に弾ける。絶妙な甘味と酸味を舌に残して、あっという間に消化器官に吸い込まれて行った。

「なんだこれは。。美味い、、、」

既製品のブドウジュースや、これまで散々飲んできたワインとは全く違うブドウの飲み物だった。飲んだ後、「美味しい」の他に表現を探すが、うまく見つからない。
うわぁーっという表情で皆が顔を合わせ、自身の感動を確認していた。発酵の奥深さ、恍惚とした余韻と共に、脳内が初めての出来事にややパニックになっていた。

それからは、

乳酸菌で発酵させたクラッカー

ねじったものはチーズの味がする。「なぜ?!」
だけどスーッと抵抗なく飲み込める。美味しく、楽に食べられる。
罪悪感ゼロのお菓子。不思議だ。

乳酸菌発酵のパン

イースト菌不使用。なんのストレスもなくスーッとお腹に入っていく。過剰な甘みはなく、小麦の味がしっかり。パンを食べても疲れない!
世の中のパンのほとんどがイースト菌による発酵。自然発酵乳酸菌で発酵させたパンは、乳酸菌が小麦を消化しやすく分解し、さらに旨みを引き出しているので、お腹に優しく、美味しく食べることが出来る。
小麦も在来種を使用し、正方形に蒸してから焼く事で素材のポテンシャルを最大に引き出す。小麦アレルギーでパンをたべれなかった方が、これなら食べれたという話も。またまた感動。

ぬか漬け

(におわないぬか床。ぬか床も食べれる?!) 
「なぜ???」

今まで食べたぬか漬けと全く違う。
田舎臭くなく、フレッシュ。ぬか床と一緒に食べる事で絶妙な香りと味加減。
きゅうり、人参、パプリカ。
漬け物の概念を変えるような感覚を覚えた。

野菜は品種改良されていない、在来種(苦みやくせが強い)の方が微生物と反応して美味しくなるそう。一般的なぬか漬けは【乳酸桿菌】による発酵で、酸味や匂いが強い。
しかし、ウエダ家のにおわないぬか床は、【乳酸球菌】による、低温度帯での発酵が可能で、冷蔵庫で保存でき、混ぜるのも週1回くらいで良い。その結果、匂わず、ぬかもそのまま食べれる。
(乳酸菌はぬか床の中に一番多くいるのです。本来、洗ってはもったいないのです。でも匂いが強いから洗うしかなかったということです。)

ぬか床を炒ってフレークにしてかけたサラダ

ぬか床が調味料に!?
ぬか床にはいちばん乳酸菌がいる。サラダにかけてオリーブオイルをたらせば、塩分を抑えた美味しくてヘルシーなサラダに!生野菜の分解も助ける。

ぬか床そのものが美味しいなんて!
言われなかったらぬか床がかかっているとは気づかないと思う。

乳酸菌でマリネした焼き魚

焼く前の魚や肉に、水に溶いた乳酸菌を塗って時間を置く事で、繊維を分解し、事前消化という状態になり臭みもなく身はふっくら!
微生物のおかげで消化しやすく、更に美味しくなるなんて!
(これ以降、家で魚を調理するときは必ず乳酸菌でマリネするようになった。)

クリーム不使用のポタージュスープ

昆布COBOという、乳酸菌を入れた水だし昆布エキスを使って、生クリームを使わなくてもクリーミーで奥深い味のポタージュスープとなる。
通常、昆布を水出しすると、昆布に付いている雑菌により、すぐに水が腐るが、ウエダ家の自然発酵乳酸菌を入れて瓶で水だしすると、雑菌が乳酸菌によって淘汰、共生され、美味しい菌に手懐けられる。なんと1ヶ月くらい使える!

これは本当に感動。
飲んだ後、お腹の中が優しさで包まれて、なんとも言えない幸福感を感じるスープ。

昆布COBOはどんな料理にも使える万能だし。他の食材のうまみを恐ろしいほど引き出して、消化を良くする。
こんな事が可能だなんて、、
今まで当たり前に食べていた食材なのに、こんなにもセンセーショナルな感覚を受けるとは。

この料理は美味しいだけじゃない「何か」がある。

シンプルだけどそれだけじゃない。

そのまま食べるよりも、その素材本来の美味しさを感じられているような。
セミナーを聞きながら、微生物、乳酸菌、自然発酵、社会問題、などなど、今まで見落としていた多くの気付きを植田家さんから教えてもらった。

私の感じ方はこうだ。

植田家さんの料理は口に入れ、味覚で「美味しい」と感じた後、まったくストレスなく消化器官に入っていく。
その後もお腹の中でも「美味しい」感覚がずっと続いていくのだ。
味覚的な美味しさの喜びと、消化できる内臓からの喜び。
身体全体で「美味しい」が感じられる喜びとでも言おうか。

もし、食道、胃、小腸、大腸に口が付いていて、言葉を話せたら、きっとみんな「美味しい!」「美味しい!」って言葉がこだましていくと思う。

乳酸菌が食材を事前に消化しやすいように分解させつつ、素材の旨みと特徴を引き出す。その結果、味覚で旨味を感じた後、負担なく消化器官が消化、吸収していくのである。
この感覚を知った後、いかに普段の自分が美味しいものを食べるという行為と同時に、消化に負担がかかっていたのかと気付かされた。

私たちは普段、食べたいものを自分で選び、食べられる生活を送っている。味覚を脳で感じ、幸福を感じた後、その代償は消化器官へと引き継がれる。食べた後の眠気や疲れ、胃のもたれなどは、消化器官の嘆きだったのかと痛感した。
食べる喜びと共に体内に入るのは、目には見えない添加物や化学調味料、農薬という人間が作り上げてきた便利の結晶である。保存料や農薬は、それ自体を守り、長持ちさせるために雑菌を殺すものでもある。

COBO代表の植田夏雄は言った。

「豊かさを得た現代人が同時に失ったのは腸内細菌である。」と。

私はこのワークショップが終わる頃、自分もこの自然発酵乳酸菌を飲もう。生活に取り入れよう。
そして、これを美容室から伝えていこうと。

そう強く思い、自身の店でウエダ家の自然発酵乳酸菌を取り扱うことを決めた。
そしてもっと健康と美容、食と身体のこと、社会のことを勉強しなければいけないと思い知らされたのであった。