世の中は菌だった?!

髪を切りながらお客様に乳酸菌のことや常在菌の話を始めたこの頃は、今から4年前くらい。(2022年現在)
お客様もまだ半信半疑で、熱く語る私を、若干の(大丈夫かな、この人、、)のような表情で見ていたのを覚えている(笑)

しかし今や、発酵ブームと言えるまで「発酵」という言葉や食品を見ない日はないし、乳酸菌の飲料やサプリ、腸活と言った言葉も当たり前のように聞くようになった。コロナ禍を経て、菌や腸や免疫が大事だということは誰もが認識していることだろう。

ここでは美容師である私が、なぜヘアデザインする上で「菌」が大事なのか?
という視点でお伝えできたらと思う。

まずは20何年前、グラフィックデザイナーだった植田夏雄が「世の中は菌だった」と気づき、家族で自然発酵研究を始めたことについて。

この「世の中は菌だった」というインパクトのあるフレーズ。
これを聞くと誰もが、(いやいや〜)とか(そこまででは、、)なんて心で思うのではないでしょうか?私もそうでした。
ですが、知れば知るほど、この目に見えない微生物の世界で私たち人間、生物、環境は生きていて、生かされていることを理解することになりました。

菌というと、今までは、除菌や抗菌、消毒と連想するように、私たちの意識としては菌を有害なものとして排除する傾向にあったと思います。清潔に丁寧にくらす=汚い菌を除菌する。みたいな感じでしょうか。
ですが、もともと、私たちには約100兆個もの目には見えない常在菌が身体の内外にいて(細胞は約10兆個)、それらを全て集めると、脳と同じくらいの重さになるそうです。

その常在菌が一番多くいるのが腸。
善玉菌、日和見菌、悪玉菌。
この腸内細菌叢が私たちの健康と美容を大きく左右しています。

今回のテーマである乳酸菌は、腸内環境の恒常性維持や、太古の時代から発酵にはなくてはならない微生物で、私たちの生活や健康維持にとても重要な菌であることは周知の通りです。しかも、わたしたちが産まれてくるとき、お母さんの産道を通るときに最初にもらうのは乳酸菌だそうです。無菌状態の胎内から、母の乳酸菌をもらって人生をスタートしていたのです。

約40億年前、地球に最初に生まれた生命も微生物だと考えられています。27億年前に光合成を行う微生物(シアノバクテリア)が生まれ、地球の環境を一変させ、10億年前に動物や植物の祖先である多細胞生物が生まれるまでの約30億年もの間、地球の主役は微生物だったのです。

この目には見えない微生物が、環境にも身体にも、多くの影響を与えてきて今日があるのです。
ごく一部の無菌状態の場所を除いては、私たちは菌とともに生きているのです。
ヨーグルトや納豆、醤油、味噌、酒など、私たちが普段口にする多くのものも菌が関与していますよね。

余談ですが、私(大島)は、新潟県魚沼の山間部で育ちました。

遊び場は山や川で、家のそばには畑と田んぼがあり、畑のミミズを採っては川に釣りに出かけたり、子供の頃は田植えや稲刈りを手伝ったりと、自然環境の中で土や泥にまみれて遊ぶ経験を経て大きくなりました。
また、家では、母が冬になると保存食のホッケの熟鮓(米を魚に詰めて重石で押さえ、発酵により独特の風味と酸味を楽しむ大人が好む食べ物)を仕込んで、お正月やお祝い、来客が来た時に振舞われていて、山菜や野生動物(ジビエですね)もよく食卓に並んでいました。兎を飼っていた時期もありました。
東京の都会生活を夢見る少年にとっては、この当たり前の田舎生活にそんなにありがたみや興味を示さずに18歳まで新潟に暮らしていたのですが、、

その結果、どんな大人になったのか。

40代半ばまで病気もなく、アレルギーも一切ない。身体の丈夫さが今となっては誇らしく、25年の美容師生活の中で、体調不良で休んだのは3回だけという、健康優良おじさんになっていました。もちろん、そうなった理由は食事や生活習慣など様々だと思います。

ですが、『微生物』という世界から見てみると、なんと恵まれた環境であった事かと。

人間は母親の細菌をもらって生を受けた後、環境や家族、ペットなどのあらゆる菌と共生しながら、腸内細菌叢や皮膚常在菌などの身体の内外の常在菌ができていくそうです。そう思うと、私の幼少期は、畑や田んぼの土壌微生物や、母の料理や発酵食品、豊かな自然環境などなど、多様な微生物と共生しながら成長させてもらっていたことがわかりました。

「世の中は菌だった」と私が後からわかった事実でした。

今となってはこの恵まれた微生物環境と、そこから形成されていった自分の腸内細菌叢に感謝の気持ちでいっぱいです。
自分の生命がどのようにして成り立っているということを知ることは、よりよく生きるためにとても大切なんじゃないかなって思えるようになりました。

動的平衡とは

「生体を構成している分子は、すべて高速で分解され、食べたものの分子と置き換えられている。
身体のあらゆる細胞の中身は常に作り変えられ、更新され続けている。
だから私たちの身体は分子的な実態としては、数ヶ月前の自分とはまったく別物になっている。

身体の中は流れそのものでしかない。
その流れの中で身体は変わりつつ一定の状態を保っている。
その流れ自体が『生きている』ということである。

生物学者 福岡伸一先生の『動的平衡』より

私たちの身体は死ぬまで生命の自転車操業を行なっていて、細胞は約3ヶ月で入れ替わっているそう。だからこそ、私たちが健康で美しく、幸せを感じて生きていくには、休みなく働き続ける自分たちのからだに、何を食べ、何を取り入れ、消化・吸収していくか。が、最大のテーマであると学んだのです。

この、消化、吸収において、腸内細菌叢がとても重要なのです。

ウエダ家の自然発酵乳酸菌が私たちにもたらしてくれるもの。
次章ではさらに詳しく伝えていきます。