はっきりと言えることがある。
ウエダ家はただの食品会社ではない。
彼らは「家族」という最小単位から、「微生物基準」を通して世の中と繋がり続けている。
父 ⎯ 夏雄さんの思考から放たれるビジョンは、物事の本質を捉え、現代を生きる我々に大いなる気づきを与えてくれる。
長男 ⎯ 遊さんのデザイン思考が、膨大な研究データと経験と共に見事にそれを言葉とカタチにし、我々へと届けてくれる。彼がメインとなって伝えてくれるウエダ家の講座は本当におもしろい。
次女 ⎯ 好さんと針山さんから作り出される料理の数々は、ウエダ家の研究が見事に表現されていて、美味しいだけじゃなく、なぜかいつも幸せな気持ちになる。
彼らの講座にくる人々は、料理関係はもちろん、デザイナー、バイヤーをはじめとした様々なクリエイターや美容関係、アレルギーを持つ方から企業案件まで実に多岐にわたる。
以前、植田遊さんがこう言っていた。
「乳酸菌は相手の良さを引き出すのが得意なんです。古来種、在来種のような癖のある難しい素材こそ美味しくなる。」と。
私はこれを聞いた時、まさしくウエダ家さんのことだと思った。
講座や活動を通して、多くの方の身体の悩みの解決のアドバイスを行ったり、企業案件の相談も受ける。自分たちの経験や知識を惜しみなく伝えてくれて、その方々の人生を応援してくれる。相手を理解した上で的確なアプローチを「微生物基準」から導いてくれる。
私も参加させていただいた【SEIMEI LAB】というプロジェクトでは、様々なジャンルの参加者と微生物を通してセッションしている。
私にはウエダ家さんと乳酸菌の役割が、重なって見えた。
そしてこの数年、UTALIIは様々なプロジェクトを共にさせていただいた。
彼らから学んだ微生物基準での物の見方や料理の数々は、私がUTALIIのコンセプトとして掲げている「ヘアデザイン+素材美」というその人自身の美しさを引き出す美容の在り方に、大きな影響と自信を与えてくれた。
我々美容師がデザインしている髪、肌
そのデザインの源は腸である。
髪と肌は、消化、吸収から始まった細胞化の最終形。そのラストを我々はデザインしている。
美容師にとって、デザインの源は腸なのではないか?
腸からはじまる健康と美容
美容室が、大切なお客様を医者から遠ざける場所になれるように。
精神と肉体の健全化
自らの常在菌を意識した生活。
菌と共に生きる。
現代を生きる上で我々は多くの問題を抱えている。
環境問題
世界の人口増加
切実な食糧危機
その中で日本の食料自給率は40%を割る。
農業革命、産業革命を経て、便利と豊かさの飽食の時代を生きる我々が、何を得て何を失ってきたのか。
消費社会から循環社会へとシフトしようとしている人類を、太古の時代から微生物は何も変わらずこの世界を見ていることだろう。
ある時、植田夏雄さんが言ったことが忘れられない。
「しあわせとは、大切な家族と食卓を囲むことだ」
と。
生きることは食べること。
この当たり前だけど、とても大切なことを痛感させられた。
「微生物」に目を向けること。
「微生物」と共に生きること。
この場を通じてこれを皆に提案したい。
MAR/2022 大島睦月